"Rheingold"1962系客車による1等車編成

Text: BOAC-VC10


私達40代のおじさんから見れば、メルクリンと言えば幼少の時に見た103形電気機関車が牽引するTEE列車という力強くエレガントな花形国際特急の情景が思い浮かぶのは私だけではないと思います。
当時は、今と違って情報も少なく、やすやすと海外、しかもヨーロッパ等へは行ける時代ではありませんでした。したがって、メルクリンモデルを通して見るヨーロッパは憧れの地でもありました。
そんな時代のドイツを代表する国際特急TEE向けに作られた新系列"Rheingold"1962 系客車は、彼の地でも憧れの存在で、メルクリンからも24センチの金属製モデルを始め、27センチの樹脂製モデルも次々と製品化、最近でも"Rheingold um 1968"/"Helvetia um 1968"、TEE初期のセットがリリースされ、現在ではすでにレアなモデルとなっているなど今でも人気の高さが窺えます。 そう、私達にとっては今でもこのTEE列車は特別な存在であり、これからもそうあり続けるでしょう。
今回、BOAC-VC10さんから、当時の"Rheingold"などの新系列客車がF-ZuegからTEE、そしてInterCityに至る変遷を編成例等を織り交ぜながらのレポートをいただきました。
この記事を通して、皆さんのメルクリンモデルが、当時の実車の再現の参考になれば嬉しいです。

20.Feb.2005(Text: Akira


["Rheingold" 1962系客車の登場]

1962年、ドイツ連邦鉄道はF-Zug "Rheingold"用に、以下の4車種で構成される、全車1等・空調付きの新型客車を投入した。

・展望室付き1等個室車(バー・荷物室付): AD4uem-62(後のAD(ue)mh101)
・1等個室車: Av4um-62(後のAv(ue)mh/Avmz111.0)
・1等開放室車: Ap4um-62(後のAp(ue)mh/Avmz121.0)
・食堂車(厨房部分2層構造):WR4uem-62(後のWR(ue)mh131)


塗装は青紫と象牙色のツートン("Rheingold '62"塗装)で、あわせてE10型電機(後の110型)のギア比を変更し、最高速度を160Km/hに向上させた特別仕様の.12番台(後の112型→現113型)が、同様の塗装で登場した。当初は箱型車体の"Kasten"タイプであったが、半年あまりで半流線型"Buegelfalte"タイプと交代した。
翌年には姉妹列車の"Rheinpfeil"も新型客車に置き換えられ、増備車の展望室窓は大型のものに変更された。時には増結用としてF/D-Zug用の青い1等車が連結されることもあった。
1965年からは、"Rheingold"、"Rheinpfeil"共々TEE化され、次第にTEE塗装となったため、移行期には混色編成も見られた。
(さらに詳しい解説はRiG「"Rheingold" 1962-1965」のページをどうぞ。)


[客車形式とメルクリン製品番号]

AD4uem-62:#28503(広窓)、#T31326(広窓)
Av4uem-62:#28503、#T31326#T33016
Ap4uem-62:#28503、#T31326
WR4uem-62/DSG:#T33016


[TEE塗装車の登場]

1965年にTEE "Blauar Enzian"用として製造された車両からは、製造時からPurpurrotとBeigeのTEE塗装となり、展望車の代わりの、バー・荷物室合造の1等個室車:ARD4ue-64(後のARD(ue)mh105)と、平屋構造の食堂車:WR4uem-64(後のWR(ue)mh/WRmz132)が、他の車種の全長26.4mより長い27.5mで登場した。
また、1等個室車:Av4uem-62と1等開放室車:Ap4uem-62は、屋根の車端が丸妻から切妻へと変更となった。
なお、1966年にUICによる車体番号規格の共通化(コンピュータ番号)により、それまでの形式標記が変更され、更には1968年に食堂車の保有がDSGからDBになったことから、車体横に大きく描かれていたDSGのマークと文字は消え、"SPEISEWAGEN"や"TRANS EUROPE EXPRESS"の文字とDBマークに変更された。
機関車は、当初は通常のE10型が、後にE03.0型(後の103.0型)が牽引し、食堂車のWR4um64(WRumh132)にF/D-Zug仕様の赤色塗装のものが入る事もあった。

・展望室付き1等個室車(バー・荷物室付):AD(ue)mh101
・1等個室車(バー・荷物室付): ARD(ue)mh105
・1等個室車: Av(ue)mh/Avmz111.1
・1等開放室車:Ap(ue)mh/Avmz121.1
・食堂車(2階建てキッチン): WR(ue)mh131
・食堂車: WR(ue)mh132
・食堂車(赤): WR(ue)mh132


[客車形式とメルクリン製品番号]

ADuemh101:#4099(広窓)、#42990(狭窓)
ARDuemh105:
#42991
Avuemh111:
#4095、#4098、#42990#42991
Apuemh121:#4096、#42991
WRuemh131:#42990
WRuemh132:#4097
WRuemh132 / DSG(赤):#4094
WRuemh132(赤):#T33018
RIC WRm / SBB:#4068


[TEE客車列車の増加]

TEEの増発や、601型(VT11.5型)ディーゼル動車の置き換えのために次第に勢力を広げ、新形式として、パンタグラフ付の食堂車:WR(u)mz135も登場した。
103型電機はまだ量産に至らず、112型が牽引の中心であった。
非電化区間はディーゼル機が、国外区間は各国の急客機が任に当たった。(下記以外にもOBBの1042、SNCFのCC40100、SBBのRe4/4(I)・(II)、DSBのMY等の事例あり。)


[客車形式とメルクリン製品番号]

ARD(ue)mh105:#42991
Av(ue)mh/z111:
#4095、#4098、#42990#42991
Ap(ue)mh/z121:#4096、#42991
WR(ue)mh/z132:#4097
WRtm134


[ICの運行開始]

1968年より国内特急:F-Zugの一部を"Intercity"と称していたが、1971/72年冬ダイヤより列車種別を"InterCity"(IC)とし、TEEと同等の車両を用い、等定時間隔運行、系統間の接続可能なネットワークが編成された。そのため、TEE列車も西ドイツ国内区間は、ICのネットワークに組み込まれた。
103型電機の量産型:.1型の生産が始まっており、同時に"Rheingold"系客車の大量増備も行われた。ICは4両前後の短編成が多く、食堂車は、多客時には食堂としても使える1等客室と合造のパンタグラフ付半室食堂車:ARmz211が増備の中心となった。
当初はF-Zug時代からの青い空調なしの1等車:Auem203も連結されることが多かったが、Apmz121から車内見付を変更し増席した1等開放室車:Apmz122(後のApmz117)等の増備により、"Rheingold"系客車で統一されていった。
食堂車も赤色塗装のWR(ue)mh132や、食堂部分は赤、1等車部分は青で塗り分けられた"Kakadu"塗装の半室食堂車:ARmh217・ARmz211が、本来のTEE塗装の食堂車に代わって連結されることも多く、さらには戦前型"Schuerzenwagen"のWRuegh152が使われるケースもあった。

[客車形式とメルクリン製品番号]

ARD(ue)mh105:#42991
Av(ue)mh/z111:
#4095、#4098、#42990#42991
Ap(ue)mh/z121:#4096、#42991
Ap(ue)mh/z122
Auem203(青):#4091#T33018
WR(ue)mh/z132:#4097
WR(ue)mh/z132(赤):#T33018
WRuegh152(赤):#43240
ARmh217:#4078
ARmz211


[TEEの晩年]

TEEの牽引機も103.1型が中心となったが、ICやD-Zugへの格下げが行われ、次第に数を減らしてきた。
転機となったのが、1979年夏ダイヤからのIC全列車2等車連結で、"Rheingold"1962系客車の一等車で統一された編成は、TEE20列車余を残すのみとなった。
この頃からTEE塗装の裾の黒色部分が、窓下のPurpurrotと同色に変更され、晩年のTEEも混色編成となったり、1977年に登場した"Eurofima"タイプの1等個室車:Avmz207も使用された。
(さらに詳しい解説はRiGの「"Rheingold" 1977-1983」のページをどうぞ。)


[客車形式とメルクリン製品番号]

Av(ue)mh/z111:#4095、#4098、#42990#42991
Av(ue)mh/z111(赤裾):#4295、#4298、#42993
Ap(ue)mh/z121:#4096、#42991
Ap(ue)mh/z121(赤裾):#4296#42993
Ap(ue)mh/z122
Avmz207(赤裾):#4147#4247#42993
WR(ue)mh/z132(赤裾):#4297
WR(ue)mh/z132(赤):#T33018
WR(u)mz135:#4153
WR(u)mz135(赤裾):#4294#42973
ARmh217
ARmz211


[最後のTEE"Rheingold"]

イタリアのFIATタイプのTEE客車を使用した"Mediolanum"とともに、西ドイツ国内を走る数少ないTEEとして残っていた"Rheingold"に対し、1983年夏ダイヤよりDBの看板列車としてのグレードアップが行われた。
夏季運行のミュンヘン分割編成(後に通年運行となり、夏季はザルツブルクまで延長)が登場し、Apmz121を改造したサロンカー:WGmh804 "Club-Rheingold"が組み込まれた。
座席車はプラグドアのAvmz111最終増備型とApmz122、食堂車はWRmh132が専用車両に指定され、塗装はPurpurrot/Elfenbeinの塗り分け部分にオレンジ色の線が追加になったが("Rheingold '83"塗装)、装備面では他の車両との違いはなかった。また、通常のTEE塗装の車両が代用されることもあった。
牽引機は、ドイツ国内の基本編成は103型、分割編成は103・110・111・112型、オランダ国内は1100・1200・1600型が使用された。
しかし、1987年の夏ダイヤを前に、"Rheingold"1962系客車による1等車で統一された編成は、"Rheingold"自身の廃止により終わりを告げたのであった。
(さらに詳しい解説はRiGの「"Rheingold" 1983-1987」のページをどうぞ。)


[客車形式とメルクリン製品番号]

Av(ue)mh/z111(RG83)
Av(ue)mh/z111(赤裾):#4295、#4298、#42993

Ap(ue)mh/z122(RG83)
WR(ue)mh/z132(RG83)
WGmh804(RG83)


[凡例]

"Rheingold"1962系客車

101:
AD4uem-62:1等個室/荷物/展望/バー合造車
AD(ue)mh101:1等個室/荷物/展望/バー合造車

105:
ARD4ue-64:1等個室/荷物/バー合造車
ARD(ue)mh105:1等個室/荷物/バー合造車
ARD(ue)mz106:1等個室/荷物/バー合造車

111:
Av4uem-62:1等個室車
Av(ue)mh/z111:1等個室車

121:
Ap4uem-62:1等開放室車
Ap(ue)mh/z121:1等開放室車

122:
Apmz122:
1等開放室車

131:
WR4uem-62:厨房部分二層構造食堂車
WR(ue)mh131:厨房部分二層構造食堂車

132:
WR4uem-64:食堂車
WR(ue)mh/z132:食堂車

135:
WR(u)mz135:パンタ付食堂車

211:
ARmz211:パンタ付1等開放室/食堂合造車

217:
ARmh217:1等開放室/食堂合造車
ARmz218:1等開放室/食堂合造車

804:
WGmh804:バーサロン車 "Club-Rheingold"


その他客車

203:
Auem203:UIC-Typ.X/1等個室車

207:
Avmz207:UIC-Typ.Z "Eurofima"/1等個室車

152:
WRuegh152:
"Schuerzenwagen"食堂車

134:
WRtm134:団体/季節列車用食堂車


(赤裾):Purpurrot(裾部分も同色)/Elfenbein TEE塗装
(タルキス):Oceanblau/Elfenbein
(赤):Purpurrot
(青):Kobaltblau
(緑):Chromoxidgruen
(Kakadu):Kobaltblau/Purpurrot
(RG83):Purpurrot(裾部分も同色)/Elfenbein/Reinorange 帯(TEE Rheingold '83塗装)

(箱):E10→110型"Kasten"タイプ箱型車体
(流):E10→110型"Buegelfalte"タイプ半流線型車体
*御意見、御質問等メールでいただければありがたいです。宛先はこちら

公開:23.Feb.2005
更新:01.Mar.2005