[はじめに]
これは、2005年の新製品としていち早く市場に出たモデルの1つで、一見すると何の変哲もない蓋付きの貨車ですが、実はレールクリーニングという大切な役割を担った機能付き貨車のモデルです。
2003年にインサイダー10周年記念の
#45010という二輛連結の同様の貨車(KK 15形)が市場に出ましたが、このモデルは、それと機能は同じながら、1輛かつ緩急室付きで登場しました。
また、一足早くTRIXから同一モデルの二線式仕様も市場に出ています。
このレールクリーニングカーについてのレポートをまとめてみたいと思います。
[モデルと実車]
この貨車は、DRG(Deutsche Reichsbahn)時代(1912年より)に運用につき始めた車輌で、モデルはDB (Deutsche Bundesbanh)所有の緩急室付きのKlappdeckelwagen(持上げ蓋付き貨車)K 15形(DRG時代の形式名称は、"K Elberfeld"、1930年からは"Wuppertal")。形式標記は、Augsburg 1895(実車の形式標記は340 000 - 347 999)となっております。この貨車は、車体標記によれば、Ep.III仕様でMuellwagen(廃棄物運搬用の車輌)のようです。
1950年代には、DBに2100両もの同形式が在籍していましたが、1960年頃には430両に激減し、1960年代中頃には、ほぼ全ての車輌が廃車となりました。余談となりますが、この貨車には"AW Weiden"とも標記されているので、おそらく現在客車の改造メーカーであるバイエルン州のWeiden i.d.OPf.にあるPFA社の敷地に以前あったAusbesserungswerk(車輌工場)で製造(改造?)されたものと推測できます。
[仕様]
この貨車の機能は、何と言ってもレールのクリーニングに尽きます。二軸ある車軸のちょうど中間に金属製の可動式おもりが付いています。更にこのおもりのちょうど二本のレール上にクリーニングパッドが挟まるように出来ています。これにより、自然にクリーナーがレールに圧着されクリーニングされるという仕組みになっています。貨車上部には左右3枚ずつ合計6枚の蓋が付いていて、開閉可能です。予備に2ヶ付属しているクリーニングパッドをこの中にしまう事が出来ます。このクリーニングパッドは、System-Joerger社製の製品で、このパッドのみ購入することも可能です。


[感想]
この貨車を走らせるまでは、集電性能に不満はなかったためか、特にレールのメンテナンスは行っていませんでしたが、この貨車購入にあたって、早速すす払い列車として機関車にこのクリーニングカーを牽引させ、レイアウトを数周すると、フェルト製のクリーニングパッドに黒い汚れが沢山付着していて、まるで絨毯を掃除した直後の粘着式のローラーを見た時のような感覚に陥りました。
目には見えない汚れも、このようにフェルトに汚れが付着しているのを見ると無性に綺麗にしたくなると思う
のは、人の性であるのかも知れません。
最近のデジタル化により、以前の様な確実なレール給電と機関車の集電が叶わなくなってきた現在、大きな長所であった交流三線式集電も残念ながら一つの長所が失われつつあるようですが、逆にこのような機能を持ったクリーニングカーを走らせることで楽しみとメンテナンスの両立を図ると言うのも模型の醍醐味と言えましょう。
何より、綺麗になった線路でお気に入りの車輌達を走らせられるのは気持ちの良いものです。メンテナンスの
大切さを知る良い機会にもなります。
実車の世界でも[モデルと実車]に記しましたように、DBでは1950年代に大量に同形式が在籍していたこともあり、蒸気機関車を始め、ディーゼル機関車や電気機関車等どの機関車に牽かせても似合うであろうこの貨車は、Ep.IIIa時代には欠かせない貨車の1つと言えるでしょう。
このような理由からも、このレールクリーニング貨車はメルクリンH0を楽しむ全ての方にオススメ出来るモデルと言えましょう。
[注意]
このレポートは、エンドユーザー個人の立場で記述されたものですので、製造者、輸入商社、販売者などには一切の関係はありません。また、記述内容の保障もないことをご了承ください。
[参考文献]
"K Elberfeld; Tk-u 900, 901" / "WAGEN - Das Archiv der deutschen Reisezug- und Gueterwagen"
GeraNova Zeitschriftverlag GmbH Muenchen
(Text: Akira)
更新:15.Apr.2005
公開:14.Apr.2005